第12章 邂逅
しのぶは上を向き、うーん、と悩むような仕草を見せる。
し「おそらく、みなさん全力だと思いますよ。柱同士の手合わせで手を抜いていたらただではすみませんし。」
ふふっ、と微笑むしのぶ。
『そうですよね…。すみません、突然。』
し「大丈夫ですよ。…あぁ、もしかしたら、」
弱々しく微笑む杏にしのぶはいつも通りの笑顔を向ける。
そのとき、何か思いついたように上を向く。
『どうなさいましたか??』
首を傾げ、キョトンとしている杏にしのぶは笑顔のまま説明してくれる。
し「確信はないんですけど、鍛錬や手合わせと鬼殺の差…。私はですが、それは斬る相手に“憎しみ”の感情を持っているかどうかだと思います。」
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杏(本当に、身体がよく動くわ…。
それに、相手の動きもよくわかる。)
いつもより遥かによく動けている。
身体の奥深くから今までに感じたことのない力が湧いてくるのがわかった。
杏(なんとなく、他の人たちが突然すごい力を出すことがあるのは分かってた。確かに……これは強くなるわよね。)
今まで他の柱と共闘したときに感じていた違和感がようやくわかった。