第12章 邂逅
しかし、今は違う。
失われていた記憶を思い出し、最愛の姉たちの最期を思い出した。
“憎悪”の感情が杏の中で渦巻く。
杏(身体がよく動くわ…。
そっか、これが“憎しみ”。)
あるときのことを思い出す。
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『しのぶさん。もしかしてですけど、手抜いたりとかしてますか??』
ある日の昼下り、杏としのぶは手合わせをしたあと休憩していた。
杏の突然の問いかけにキョトンとした表情を浮かべるしのぶ。
し「突然どうしたんですか??」
『その…勘違いかもしれないんですけど、このように手合わせをしているときより、鬼と対峙しているときの方が強いような気がしまして…。』
突然変なこと言ってすみません、と言って視線をそらす。
し「そうだったんですね。」
納得したような表情をするしのぶに杏は申し訳無さそうに小さく呟く。
『その、しのぶさんだけではないんです。他の柱の方々もそうで…。でも私が見る限り、鍛錬や手合わせで手を抜いているようには思えなくて…。』
し「そうですねぇ…。」