第12章 邂逅
不「クソがっ、」
不死川も急いで追いかける。
『返しなさいよ…、姉さんたちを返して!!』
杏は泣き叫びながら、連続の突き技を放つ。
童「それは無理だなぁ。君の姉さんたちちゃんと喰べてあげられなかったしね。あぁ、でも1番上の姉さんの右腕はすごく美味しかったよ。やっぱり若くて綺麗な女の子の肉が1番だよね。って、うわっ!!先刻も思ったけど強いんだね!!すごいや!!」
飄々としている童磨に最後の一突きを入れる。
その一突きをくらい驚きの声をあげるも、杏が刀を抜き離れればすぐに再生する。
『黙れっ!!許さない、絶対に許さない!!』
──ブワッ
さらに強い殺気が杏の身体から溢れ出す。
不「音白…!?」
その杏の殺気に驚き、思わず固まってしまう不死川。
不死川がこれまで見てきた限り、杏が何かに対して殺気を放つことなど一切なかった。
普段、穏やかな者たちも鬼の前に出れば殺気が出るというのに、杏にはそれが今までなかった。
それもそのはずで、杏が鬼殺隊にいるのはお館様の悲願である鬼舞辻無惨討伐のため。
鬼に対して憎しみの感情を抱いたことなどなかったのだ。