第12章 邂逅
不「音白っ!!しっかりしろォ!!」
突然、空を掴もうとする杏を不死川がその場に座り込ませる。
『あ………、不死川さん…。』
不「落ち着けェ。」
不死川は杏を抱く手を緩め、鬼のほうへ杏の視線を誘導する。
「あ、大丈夫かい??
どうかな、俺のこと思い出してくれた??」
心配しているようなことを言いながらもニコニコとした笑顔を浮かべている鬼。
『…えぇ。思い出しましたよ、全部。』
ゆらり、と立ち上がる杏。
『こんばんは。そして、お久しぶりですね。
上弦ノ弐、………………童磨。』
─ 桜の呼吸 壱ノ型 桜吹雪 ─
挨拶と同時にギロッと鬼、童磨を睨みあげ技を放つ。
童「よかったぁ。覚えていてくれて安心したよ。
“青い彼岸花の君”。」
しかし、技をくらったはずの童磨はニコニコとした笑みを浮かべたまま、手を振っている。
『本当に、どうしてお前のことを忘れていたのかしら。こんなこと………忘れられるわけないのに。』
刀を童磨に向け、静かに尋ねる。
『ちなみに、珠さんはどうされました??あの方の瞳の暗さ…。あの日店にいらした男性と同じです。“万世極楽教”…何かあるのでしょう??』
童「珠…??あぁ、あの娘だね。あの子はもう仕事を終えたから喰べてあげたよ。君をここまで連れてきてくれたからね。」
『…そう。』
不「おい、音白……」
─ 桜の呼吸 参ノ型 狂い咲き ─
初めて杏から発された殺気に不死川が慌てて声をかけるがそれも遅く、杏は駆け出していた。