第12章 邂逅
『うっ、く……、』
痛む頭を抑え、膝から崩れ落ちそうになるのを何とか耐える。
杏(な、に…なんでこんな…っ、)
痛みに必死に耐えながら片目を開けて先程一瞬しか見れなかった鬼の姿を瞳に映す。
杏(虹色、がかった瞳に、白橡色の、髪…。
どこかで…そうだわ、猗窩座のときに流れてきた映像に出てきた…。)
必死に耐え、考えていると次々とこれまでにない勢いで映像が流れ込んでくる。
『うぅっ…、いっ……たぃ…。』
「頭痛いのかい??」
苦しむ杏を上から見下ろす虹色がかった瞳、白橡色の髪の鬼。
杏(映像が…とまらない…。お店…??)
しかし、今の杏には鬼の言葉は一切聞こえない。
「おーい??聞いてる??」
そんな杏に鬼が手を伸ばした瞬間、その場に突風が起きた。
鬼が伸ばした手がその場に残され、杏の姿が消える。
「…ほんとうに、どうしていつも邪魔されるんだろう。」
鬼は残された手を引っ込め、ある1点に視線を向ける。
不「音白!!大丈夫か!!しっかりしろォ!!」
『う、あ……、』
杏を鬼のもとから救い出した不死川は腕の中にいる杏を呼ぶが、頭を抱える杏からの反応は返ってこない。