第12章 邂逅
サ「ワカッタワ!!」
『ありがとう。今回の任務のことなのだけど…』
杏はできる限りわかりやすく、簡潔に話す。
サ「任セテオイテ!!」
『お願いね。』
バサバサッと飛び立つサクラを見送り、手をふる。
杏(不死川さんは…まだ戻ってないわね。)
キョロキョロと辺りを見渡し、不死川の姿がまだ見えないのを確認する。
杏(もう少し休んでましょう。)
そう考え、木にもたれかかったとき、突然ゾワリとした悪寒が背筋を走る。
杏(…っ、なに…!?)
日輪刀に手をかけてバッ、と振り返るとそこには先程までは姿も、気配もなかったというのに人影が見える。
今は月が雲で隠れているため真っ暗でその姿、階級を確認できない。
杏(この気配の隠し方……上弦ノ鬼。)
しかし、杏は1度猗窩座に遭遇したためこの鬼が上弦であることを瞬時に悟った。
杏は警戒して日輪刀に手をかけながら、こちらへ歩いてくる人影から目を逸らさない。
そのとき、ずっと雲に隠れていた月がでてきて、杏の元に月光が差す。
──ド、クン
ずっと見えなかった人影の全貌が杏の視界に入った途端、これまでとは比べ物にならないような、激しい鼓動と頭痛が杏を襲った。