第12章 邂逅
不「行くぞォ!!」
『はい!!』
杏と不死川はバッ、と日輪刀を抜き走り出す。
杏(この気配………。)
走りながら鬼の気配がおかしいことに気づく杏。
『不死川さん、鬼の気配なんですが……。』
不「あァ…。一匹じゃねぇなァ。」
不死川も気づいてらしく、辺りを警戒しながら静かに返す。
『どういうことでしょう…。特に強い一匹がいるような感じではないのに、鬼が群れているなんて…。』
杏は眉をひそめ、まさかの状況に頭を悩ませる。
鬼は基本、群れることはない。
それが何故かまでは未だわかっていないが、鬼たちが共喰いをするということは最終選別を行っている藤襲山で起きた出来事としてわかっている。
鬼殺隊の認識としてはそういうことなのだろう、というものだけだが、鬼たちが群れないのは事実。
稀に十二鬼月の下弦の鬼や元十二鬼月の鬼たちが暴力と恐怖で他の鬼たちを従えていることもあるが、その殆どがうまくいかないことが多い。
那田蜘蛛山での鬼が家族として共生していたというのは異例中の異例だ。
どちらにしろ、一匹強い鬼がいないと鬼の群れは成り立たない。