第12章 邂逅
登りながら袋に入れておいた日輪刀を取り出し、腰に差す。
山道はそれほど荒れておらず、着物の女性でも登ることはできそうだった。
『…山頂に行かないとでてこないんですかね。』
杏は辺りを見渡しながら小さく零す。
不「面倒くせぇなァ。
もう稀血で呼び寄せるかァ。」
『なんでそうなるんですか!!』
そう言って日輪刀を抜こうとする不死川を杏は慌てて止める。
不「こっちのが早いだろ。」
『それでもです!!…心配しているのはなにもしのぶさんだけじゃないんですよ(ボソッ』
日輪刀を抜こうとする不死川の手を抑えながら力強く動きを静止させ、ため息を付きながら小さくつぶやく。
不「何か言ったかァ??」
『…なんでもないですよ。』
若干、不貞腐れながらもなんでもないと返し、山道を登っていく。
不(なんだァ??)
しかし、不死川はわかっていないのか首を傾げる。
──ピクッ
もうすぐ山頂、というところまで来て杏と不死川は顔を見合わせた。
『いますね。』
不「あァ…やっと見つけたァ。」
杏は皆が頬を染めるような、不死川は見る人が見れば気絶しそうな笑顔を浮かべる。