第12章 邂逅
このご時世、帯刀はご法度だ。
警官にでも通報されたら面倒くさい。
不「別にいいだろォ。」
『良くないです。面倒なことになる前に袋に戻してください。』
杏は不死川の手からパッ、と日輪刀を奪って袋に入れてから返す。
『はい。』
不「…チッ」
『聞こえてますよー。』
舌打ちする不死川を置いて杏は一歩前に踏み出す。
そんな感じではあったが、人がいるところへ行けば杏はすぐに隣に戻り、不死川の腕に手をかける。
「不死川様…!!そのお姿は…??」
杏と不死川の姿が見えて駆け寄ってくる女将さん。
『では、行ってきますね。』
「本当に、どうかお気をつけて…。」
『はい。』
心配そうな、不安そうな表情を浮かべる女将さんに杏は優しく笑いかける。
小さく手を振り、夜の闇へと消えていく2人の後ろ姿を女将さんは最後まで見つめていた。
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『さて、この山ですね。』
昼に来た食事処の裏の山の前に辿り着き、山頂を眺める。
不「今出てきてくれりゃ楽だが、とりあえず山頂目指すかァ。」
『そうですね。』
今は特に周囲で鬼の気配はしないため、山に足を踏み入れる。