第12章 邂逅
『それがわからないんですよね…。
記憶っていつ戻るんでしょうか。』
不(昔のことってのはわかんのか…。)
はぁ、とため息をつき壁に頭を預けている杏。
不「ま、どっちだって関係ねぇよ。
鬼を殺せば全部終わる話だァ。」
『まぁ、それはそうなんですけど…。ふと思ったんですけど、珠さん山に来たりしませんよね??』
不「さぁなァ。行ってみねぇと分かんねぇだろォ。」
『もしいたら危険ですよね。珠さんだって喰われる可能性がないわけではないでしょうし。』
不「それはそうだが、大丈夫だろォ。」
杏はわりと真剣に悩んでいるのに不死川からは適当な返事しか帰ってこない。
『まぁ私たちがいますし、そんなことにはさせませんが…。』
杏はうーん、と考え込む。
腕を組み、唸っていると頭を軽く叩かれる。
不「オラァ、行くぞォ。」
『…はい。』
叩かれた頭を軽く抑えながら見上げると、隊服に着替えたいつもどおりの不死川が日輪刀を持って立っていた。
若干、不服そうな顔をしながら部屋から出ていく不死川を追う。
『というか、どうして日輪刀を袋から出してるんですか??まだ宿ですよ。』