第12章 邂逅
『では、私は外で待っていますね。』
不「いや、お前は中で待ってろォ。」
襖に手をかけ、閉めようとすると不死川から止められる。
『え??』
思わず固まってしまう杏。
それもそのはず。
今は設定上夫婦ではあるが、実際には杏はまだ嫁入り前の娘だ。
嫁入り前の娘が同年代の異性の着替えの場に居合わせるのは少々よろしくない。
不「もう夜になる。部屋の外にいて酔っ払いにでも絡まれたら面倒だろうがァ。」
『しかし…。』
不「時間ねぇし、さっさと入れェ。」
『きゃっ、』
渋る杏の手をグイッ、と部屋へと引き入れる。
『もう…、じゃあ私は奥にいますから、早くしてくださいね。』
不「あァ。」
無理矢理引き入れられたことで諦めたのか、杏は奥へと行き壁を見つめて座る。
ガサゴソと不死川が着替えている音が静かな部屋に響く。
『…不死川さん。』
不「どうしたァ。」
静寂の中、杏が口を開く。
『どうして、珠さんは鬼に協力しているのだと思いますか??』
不「んなもん知るかよォ。」
『ずっと、考えていたのです。無限列車の件のとき、鬼に与している子どもたちがいたと煉獄さんがおっしゃっていたじゃないですか。』