第12章 邂逅
彼、とても強いですからと言って微笑む杏。
「で、ですが…。」
『どうかご心配なさらないでください。
大丈夫ですから。』
女将さんを安心させらるように、できる限り柔らかく優しく微笑む。
「……わかり、ました。
どうか…お気をつけて。」
『はい。とりあえず、お部屋で着替えてきます。』
そう言い、不死川の手を取り部屋へと向かう。
不「決まりだなァ。」
『えぇ。珠さんの気配は人のものでしたけど、鬼と通じているのでしょうね。見返りが何かはわかりませんが、鬼に人を売っている…。』
小さな声で囁き合い、溜息をつく。
不「ったく、なんで鬼なんかと仲良くできるのかねェ。」
『まったくですね。禰豆子さんのように人を喰わない鬼ならともかく…人を喰う鬼とよく仲良くできるものですよ。』
杏の口から出た“禰豆子”という言葉にピクリ、と反応する不死川。
不「…お前もあの鬼と会ってんのかァ??」
『禰豆子さんですか??
えぇ、たまに遊びに行きますよ。』
不「気でも触れたかァ??柱が鬼なんかと…。」
『あら、失礼ですね。
私はお館様のご意向に従っているだけですよ。
あの子自身を見てみたまでです。』