第12章 邂逅
不「茶も茶菓子も美味かったからなァ。」
「そんなっ…」
女将さんが必死に多い分を返そうとするが不死川は取りあおうとしない。
『よければお納めください。』
杏は困っている女将さんの肩に手をおき、ニコッ、と微笑む。
「すみません、ありがとうございます。」
深く深く頭を下げる女将さん。
『私たちこれから少し出掛けてきますね。』
「え!?」
一応伝えておこうと杏が話すと女将さんは目を見開く。
「そんな…!!今この町で夜に出歩くのは危険です…!!どうかお部屋にいてくださいませ…!!」
『危険…ですか??』
杏(この方…何か知ってる。)
不死川の方へチラッと視線をやり、小さく頷き何も知らないふりをして話を聞く。
「そうです!!先程言ったいなくなってしまわれた方々もみんな夜に出歩かれて帰らなかったのです!!」
『あら…みなさん、どちらへ行かれたのでしょうか。』
「昼に行った食事処でお勧めされたところへ行くとおっしゃっておりました。なんでも穴場だと…。」
『そうですか…。でも大丈夫ですよ。
彼もいますし、無事に帰ってきますよ。』