第12章 邂逅
不「“観光できている夫婦”…か。」
「あぁ!!それだけじゃない!!その誘いに乗った若夫婦たちはみんな次の日から行方知れずになってるんだ!!」
「泊まっていたっていう旅館の女将たちがよく騒いでいるんだ。まだ会計が済んでねぇって…。」
不「…………そういうことかァ。」
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不「と、言うわけだァ。」
『それは…ただの偶然とも思えないですね。
私たちが勧められた場所から考えても。』
不「人があまり来ねぇ夜の山。
まァ、なにかするにはこれ程に良い場所はねェ。」
杏は備え付けのお茶菓子を口に運ぶ。
『あ、美味しい…。』
思わず小さく呟くと不死川の手もお茶菓子へと伸びる。
そんな不死川の手を見てふふっ、と笑うとギロリ、と睨まれる。
コホン、と一息つき再び話し始める。
『とりあえず、町で聞き込みして夜は山に行きましょうか。山に行くときは隊服で行きましょう。』
不「そうだなァ。
昼間は何かしようにも鬼には何もできねぇし。」
『珠さんの動きは気になりますが、まぁとりあえずは大丈夫でしょう。私達に対する敵意自体は特に感じませんでしたしね。』