第12章 邂逅
そう言って下がる女将さん。
『素敵なお部屋ですね。広さも十分ですし、窓開けたら景色もいいですよ。』
部屋の中で1番大きな窓を開けながら振り返り微笑む杏。
不「そうだなァ。」
不死川も荷物を床におき、小さく伸びをする。
『さて、それではお互いに報告にしましょうか。』
杏は備え付けのお茶セットに手をかけながら不死川を見上げる。
不「色々あるからなァ。」
不死川も杏の座った向かい側に腰を下ろす。
『とりあえず、珠さんは何か知ってますね。
今回の任務の事件のこと。』
不「あァ。裏もとれてるぜェ。」
『あの人たちですか??』
淹れたお茶を不死川の前に差し出しながら首を傾げる杏。
不「あの女について色々教えてくれたァ。何でも、あの女に誘われてあの食事処に行った若夫婦は次の日から行方知れずになっているそうだ。」
差し出されたお茶をのみ、薄く笑いながら男たちからの情報を伝える。
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「実は…………あの珠とかいう女、ちょっと怪しいんだ。」
不「怪しい??」
「あぁ。俺たちはいつもこの辺りで客引きをしているんだが、ここ最近になってあの女も来はじめたんだ。」
「それも、観光できている夫婦ばかりなんだよ。」