第12章 邂逅
手頃な宿を見つけ中に入る。
「いらっしゃいませ。2名様でしょうか??」
『はい。』
「お名前をお聞きしてもよろしいですか??」
『不死川です。』
不(不死川……。)
「不死川様ですね。少々お待ちくださいませ。」
先ほどと同じように、怖がられないように杏が対応する。
『夫婦役としての潜入ですし、同じ部屋ですよね??』
不「…そうだなァ。」
女将さんが奥へ行ったのを確認して不死川に尋ねる。
不死川からの返事もあったのでどんな部屋ですかねー、と揺れていると、女将さんが戻ってきた。
「お待たせいたしました。すぐにご案内できますが、如何いたしましょうか。」
『案内していただいてもよろしいですか??』
「かしこまりました。では、こちらにお名前をお願いいたします。」
客用名簿を差し出す女将さん。
杏がサッ、と筆を取りサラサラと名前を書く。
「ありがとうございます。
では、こちらへどうぞ。」
案内してくれる女将さんの後を追い、部屋への向かう。
「こちらの鹿の間でございます。」
『ありがとうございます。』
「何かございましたらご遠慮無くお申し付けつくださいませ。」