第12章 邂逅
脳裏に何やら興奮している男が自分の手を無理矢理引いている映像がうつる。
杏(だれ…??)
それ以上の映像は流れず、頭痛もだんだんとおさまっていく。
珠「大丈夫ですか??」
『え、えぇ。…っ!!』
ゆっくりと顔を上げ、珠に笑顔を向けたときに見た珠の瞳に目を見開く。
不「杏??本当に大丈夫か??」
不死川が杏と珠の間に体を入れて杏の顔を覗き込む。
『…大丈夫です。また、あとで…(ボソッ』
後半だけ、不死川にしか聞こえない声量で話して笑顔をみせる。
不「大丈夫ならいいがァ、無理はするなよ??」
『はい。』
「珠ー!!料理を持っていっておくれ!!」
不死川が杏の頭を撫でたところで厨房から珠を呼ぶ女将さんの声が響く。
珠「はーい。」
珠は返事をし、厨房へ戻っていく。
その隙に、視線をあわせる杏と不死川。
杏(何か、あります。)
不(みてぇだなァ。)
アイコンタクトで会話をし、お互いに小さく頷いたところで料理をもった珠が戻ってきた。
珠「お待たせいたしました。」
『ありがとうございます。』
料理を置いた珠にお礼を言い、手を合わせて食べ始める。