第12章 邂逅
この食事処自体に怪しいところは今のところ確認できない。
杏(…私の思い過ごしだったのかしら。
珠さんのあの瞳…暗すぎると思ったのだけど。)
チラッ、と横目で珠を盗み見る。
ずっとニコニコして目を閉じているため、瞳が確認できない。
杏(とりあえず、不死川さんを待つしかないわね。あの人たち…不死川さんに何の話してるのかしら。先刻まで怖がってたのに…。)
珠も席に戻ってきて話をしていると扉が開く。
不「悪ィ、待ったかァ??」
『実弥さん!!いいえ、大丈夫ですよ。』
店に入ってきた不死川に嬉しそうに駆け寄る。
突然駆け寄ってきた杏に怪訝そうな視線を向けるが、後ろに人がいたのか杏の肩を抱きながら道を開ける。
不「案内ありがとうなァ。」
『まぁ、貴方が実弥さんを案内してくださったのですね。ありがとうございます。』
「いえ、大したことではありませんので。」
不(…そういうことかァ。)
不死川から離れることなくお礼を言う杏の姿にその不審すぎる行動の意図に気づく。
『先に注文は済ませておきました。
オムレツライスとライスカレーです。』