第12章 邂逅
はぁ、と悲しげに溜息をつく。
『そうだわ。実弥さん、ちゃんと道わかるかしら。』
珠「大丈夫ですよ。
うちの店員が迎えに行ってますから。
お茶でも飲んでいてください。」
突然立ち上がった杏のもとに湯呑を持って戻ってくる珠。
手にはお品書きを持っている。
『そうなのですね。…すみません。』
珠「いえ。ゆっくりしていってくださいね。
こちらどうぞ。」
『ありがとうございます。
まぁ、洋食ばかりですね。』
珠「こんな店構えですからね。」
お品書きを見て漏れた杏の言葉にふふっ、と笑う珠。
『先に頼んでおこうかしら。私はオムレツライスで、実弥さんは…ライスカレーがいいかしら。
お願いします。』
珠「かしこまりました。」
杏が頼んだ2つの料理を紙に書き、厨房へと向かう珠。
珠「女将さん、オムレツライスとライスカレーお願いします。」
「はいよー。」
珠が奥へと声をかけると大きな声が返ってくる。
杏(…今のところ、店の人は珠さんと女将さん、あとは不死川さんを迎えに行ったという店員くらいかしら。)
サッ、と店内に視線をやりその他に人がいないのを確認する。