第3章 壊された幸せ
2人の男は左目のあたりに紫色の痣のようなものがあるお館様と呼ばれる男性に向かって跪き、杏の家で起こっていたことを説明する。
お「2人が無事で何よりだよ。…それにしても、上弦の弐がこれほどまでに動くとは…。」
お館様は2人に微笑み、労う。
そして、上弦の弐の奇妙ともとれる行動に少し考え込んだ。
お「上弦の弐が言っていたことで何か気になることはあったかい??」
お館様の問いに少し考え込んだ槇寿郎が顔を上げた。
槇「上弦の弐はその娘のことを“青い彼岸花の君”と呼んでおりました。」
お「“青い彼岸花”…??」
槇「はい。」
悲「間違いございません。」
お館様が“青い彼岸花”というワードに首を傾げていると、悲鳴嶼も槇寿郎に同調する。
槇「しかし、聞いたことのないことでしたので少し気になりまして…。」
お「たしかに。そのような花は聞いたことがないね。……確認なんだが、上弦の弐はこの子を喰らうのではなく、連れ帰ろうとしていたんだね??」
悲「はい。」
槇「その通りでございます。」
ふむ、と頷くお館様。
何か分かったようなお館様のご様子に2人が声を上げる。