第3章 壊された幸せ
涙を流しながら、童磨を睨みつける杏。
童「そっかぁ、でもこのお姉さんの腕はもらっていくよ。戦利品1つもなしはちょっとねぇ。」
先程とったゆりの右腕をブラブラと揺らす童磨。
『っ!!』
カッと顔が赤くなる杏。
童磨を怒鳴りつけようとした瞬間、
童「じゃあね、“青い彼岸花の君”。
鳴女ちゃん、おねがい。」
──ベンッ
フリフリと手を振り、突如現れた部屋の中へ消えていった。
その瞬間、
──バタッ
槇「大丈夫か!?」
悲「っ!!」
杏が倒れた。
悲「気絶、ですね。」
杏の浴衣の裾に触れると名札がでてきた。
悲「札のようなものがあります。」
槇「名札だな。音白杏、か。とりあえず、連れ帰るか…。鴉を飛ばそう。」
炎のような男のほうが杏を横抱きにし、歩き始める。
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in 産屋敷邸
槇「お館様、申し訳ございません。
上弦の弐を逃してしまいました。」
悲「鬼に狙われている娘がおり、我らの屋敷よりこちらのほうが良いかと思い、連れ帰りました。」