第12章 邂逅
『そうですね。うーん…、この藍色のでお願いします。帯とかはお任せしますね。』
藤「かしこまりました。」
並べられた着物の中から杏が選んだものを手に取り、部屋を出る女性。
不死川のところにいる女性に見せに行ったのだろう。
藤「髪はどうなさいますか??
髪飾りはたくさんありますが…。」
残っている女性がたくさんの髪飾りを見せながら尋ねる。
『いえ、髪は大丈夫です。』
自身の杏の花の簪に触れながら、やんわりと断る。
藤「お待たせいたしました。
では、着付けましょうか。」
2人がかりで着付けてくれる。
藤「まぁ、とてもお似合いです!!」
『ありがとうございます。』
杏が選んだのは白い花が咲き誇っている藍色の着物。
帯は白色で薄い桃色の帯上げを重ねて、若草色の帯留め。
それなりに上等なもののようでとても綺麗な着物だ。
鏡の前で軽く前髪を整えていると、女性が声をかけてきた。
藤「桜柱さま。風柱さまのご支度も終わったようです。」
『わかりました。』
鏡の前から離れ、襖に向かう。
杏(それにしても…何故女の私より支度が遅かったのでしょう。)