第3章 壊された幸せ
優しく微笑むゆりを見て、杏の瞳から大粒の涙がボロボロと溢れ始める。
ゆ「ね、ぇ、あん、ずちゃ、ん、」
『なぁに??ゆり姉さん。』
先程までとは違い、涙は流すが叫ばない杏。
ゆりの言葉に耳を傾ける。
ゆ「いき、て、ねぇ、つら、い、ことも、たく、さ、んあると、おも、うけど、わたした、ちのぶん、もがんば、て生きる、の、よ、」
『うん、うん、うん、頑張る、私、頑張るから…!!』
ゆ「いいこ、ね、だぁい、すきよ、あん、ずちゃ、ん、」
ゆりは最期ににっこりと微笑み、静かに目を閉じた。
『やだ、ゆり姉さん…。
やだよ、目を、開けて…。』
ボロボロと涙を溢す杏。
その間も2人の男と童磨は戦っていた。
童「うーん、時間ないなぁ。」
ちらりと外を見て、夜明けが近いことを確認する童磨。
童「しかたない、とりあえず“青い彼岸花の君”。
君のことは今日は諦めるよ。」
男たちと距離を取り、悲しみに打ちひしがれている杏の方を見る。
童「また今度会えたら、そのときは必ず連れ帰るよ。」
『わた、しはっ!!絶対に、アンタを許さないっ!!』