第3章 壊された幸せ
そういった童磨は一瞬で杏の近くまできた。
思わず目を瞑る杏。
『っ!!』
ゆ「杏ちゃん!!」
槇「しまっ!?」
悲「っ!!」
──グサッ
杏(…??痛くない…??)
一向に痛みがやってこないことを不思議に思った杏が目を開けると目の前には、
ゆ「うぐっ、ぁ、」
胸に童磨の爪が貫通したゆりの姿があった。
槇「くそっ!!」
─炎の呼吸 壱ノ型 不知火─
炎のような男が童磨に斬りかかる。
童「おっと。」
ゆ「ぁあっ!!」
ひょいっと攻撃を避ける童磨。
その手には人の右腕があった。
『ゆり姉さんっっ!!』
杏は胸に穴があき、右腕を失ったゆりに必死に呼びかける。
ゆ「あ、んずちゃ…よか、た…ぶじ、ね…」
ヒューヒューと言う息をしながら笑うゆり。
もう体に痛みを感じていないのだ。
『なんでっ、なんで私を庇ったのっ!!
やだよ、置いてかないで…!!』
ゆりの手を握り、泣き叫ぶ杏。
そんな杏をみてゆりは口を開く。
ゆ「あ、たりま、えで、しょ…??わ、たし…は、あん、ずちゃ、のねえさ、んなんだ、から。」