第11章 護衛役
そんな2人のやりとりを少し離れた場所から見ていたしのぶ、祈里、音羽。
ほとんど2人だけみたいになってはいたが、現在地は未だ道場。
決して、2人きりだったわけではない。
しのぶは見慣れた光景であり、やれやれ、といった顔をしているだけだったが、祈里と音羽は目を見開いて2人のやりとりを凝視していた。
し「お2人とも、見過ぎですよ??」
しのぶはクスクス、と笑いながら固まっている2人に声をかける。
祈「あ…、すみません。つい…」
音「あの…蟲柱さま、杏さまと風柱さまのご関係は…??」
しのぶの声かけにより、ハッ、と我に返る。
音羽は恐る恐るといった様子でしのぶに2人の関係について尋ねた。
わざとらしく考え込むように首を傾げるしのぶ。
し「関係…そうですねぇ。
特別な仲ではないみたいですよ、まだ。」
祈「ま、まだ…ですか??」
し「はい。」
しのぶの含みのある言い方に困惑している祈里と音羽を見てクスクス、と笑うしのぶ。
し「ふふ、まぁ冗談はこの辺にして…そろそろあの2人呼びましょうか。」
ひとしきり、2人を誂うと満足したように杏と不死川の方へと視線を向ける。