第11章 護衛役
─ 風の呼吸 陸ノ型 黒風烟嵐 ─
下から上へと煙を巻き上げるようにして斬撃を放つ。
し(構えがまるで不死川さんを見ているようですねぇ。綺麗な構えです。)
大きな斬撃が一つとその斬撃の周囲には小さくて複数の斬撃が取り囲う技。
不死川にとっては知り尽くしている技であり、簡単に捌かれる。
音「っ、」
結局、それから何度か技は出せたが音羽の竹刀が不死川に届くことはなかった。
『そこまでっ!!』
──ダンッ
杏の静止の声と同時にその場に座り込む音羽。
音「はぁはぁはぁ…。」
『お疲れ様です、音羽さん。』
音「あ、ありがとうございます。」
杏により差し出された瓢箪と手ぬぐいを受け取る音羽。
『よく頑張りましたね。
不死川さんは少々厳しかったですね。』
不「このくらいは普通だろォ。
お前を守るのがこいつらの任務なんだからなァ。」
不死川は同意を求めるようにしのぶの方へ視線をやる。
し「たしかに、彼女たちにはもっともっと強くなっていただかなくては困りますけど、もう少し優しくしてあげてもよかったと思いますよ。」
しのぶは肩をすくめながら、微笑む。