第11章 護衛役
戸を開けた祈里としのぶが見た光景は、床に仰向けに倒れる音羽と、その音羽の顔の横に竹刀を突き立てている杏の姿だった。
し「あらあら。」
祈「音羽さんっ!!」
驚き、目を見開く祈里。
それもそのはずで、杏は祈里と手合わせしたときは自ら攻撃することはなかった。
祈里を倒そうとはしていなかった。
祈里が固まっていると、しのぶが隣から呑気な声をだす。
し「杏さーん。そろそろ動いてくださいよー。」
『…っ!!音羽さん!!大丈夫ですか!?』
しのぶの声により、ハッ、とした杏が竹刀を手から放し音羽の肩を揺らす。
音「…あ、大丈夫です…。」
音羽も呆然としている様子だ。
『本当にごめんなさい。
頭打ったりしてないですか??』
急いで音羽の全身を見る杏。
し「まぁまぁ杏さん。
私が診ますから落ち着いてください。」
『しのぶさん…。』
慌てふためく杏の肩をポンと叩き、音羽の状態を診るしのぶ。
その後ろで杏と祈里がソワソワとしている。
し「大丈夫です。
特に頭を打った様子もみられませんよ。」
『よかった…。
ありがとうございます、しのぶさん。』