第11章 護衛役
し「それでも、杏さんは稽古をつけてくださるのでしょう??」
祈「……はい。」
祈里はまだ俯いたままだ。
しかし、しのぶはそんなこと気にもとめていないように話を続ける。
し「名称が何であろうとも柱である杏さんが稽古をつけているのですから扱いは継子のようなものです。それに、私は杏さんが大好きなんですよ??護衛役の方には強くなっていただかなくては困りますからね。」
少しおどけたように笑ってみせるしのぶ。
祈「…そうですね。」
ふふっ、と笑う祈里。
そのまま進んでいき、道場の前に辿り着く。
祈「終わってるかわかりませんが、中入ってみましょうか。」
し「そうですね。」
祈里がしのぶの方へ振り返って声をかけ、しのぶも同調する。
──ダンッ
祈「っ!?」
し「あら??どうしたんでしょうか。」
突然、道場からする大きな音に驚く祈里。
しのぶは口にはしているが特に驚いた様子はない。
祈「あ、開けますっ!!」
──カラカラ
慌てて戸を引き、中の様子が見る祈里とその後ろからヒョコッと覗き込むしのぶ。
祈「杏さま!!音羽さん!!一体何が…!!」