第11章 護衛役
慌てて竹刀を手に持つ音羽。
祈里も審判をしようと立ち上がるが、杏にやんわりと静止される。
『祈里さんは少し外で涼んできてください。
疲れたでしょう??あと、もう少しでしのぶさんがいらっしゃると思うのでこちらへ案内していただいてもよろしいですか??』
祈「わかりました。では、失礼します。」
ペコッ、と頭を下げ道場を出る祈里。
『さて、音羽さん。先程と同じです。
どんなことをしてもいいので私から一本とってみてください。』
音「はいっ。」
構え、集中する音羽。
そんな音羽の様子に小さく口角を上げる。
杏(さて、祈里さんは雰囲気通り花の呼吸でしたが、音羽さんはなんの呼吸かしら。)
『では……はじめっ!!』
掛け声を聞き、竹刀をグッ、と構える音羽。
見覚えのある、というよりよく見る構え。
杏(あの構えは……風の呼吸。)
一瞬、不死川の姿が重なる。
─ 風の呼吸 弐ノ型 爪々・科戸風 ─
グッ、と踏み込み竹刀を振り下ろす音羽。
爪のような4つの斬撃が杏の方へ飛んでくる。
音羽が竹刀を振り下ろす姿をじっ、と見たあと、トッ、と後ろへ軽く飛んで避ける杏。