第11章 護衛役
『ありがとうございます。今行きますね。』
立ち上がり、2人の方を向き微笑んでみせる。
音「あの…、先程の歌は…」
祈「音羽さんっ…。」
音「あ…、すいません…。」
思わず、といった風に口を開いた音羽に祈里の声が飛ぶ。
『…大丈夫ですよ。あの歌は…何故か知っている歌です。メロディしかわからない、名前もわからない歌です。でも、何故か口ずさみたくなる…。これもきっと、記憶が戻ればわかるのでしょうけど…。』
肩をすくめながら微笑む。
祈里と音羽が顔を見合わせる姿を見てふふっ、と笑い声を零す。
『さぁ、夕餉にしましょう。
お腹空きました。』
2人の間をすり抜け、居間に向かう。
音「あ、あのっ、鴉たちの食事にはなにを…。」
慌てて追いかけながら尋ねる。
『あぁ、そうでしたね。』
サ「チョット忘レテタノ!?」
音羽に言われてから気づいた様子の杏に文句を言うサクラ。
『ごめんね、サクラ。えっと、…ここの棚に入ってます。胡桃やトウモロコシですね。
そういえばお2人の鴉は…。』
パタパタと走り、台所の棚を2人に見せる。
祈「もう少しで帰ってくると思います。」