第11章 護衛役
悶々と考えすぎて少しふらつく。
杏(いけない、逆上せてしまうわ。
もうでましょう。)
湯船からでて浴室を出る。
身体を拭き、寝間着用の浴衣に袖を通し髪の水分をとる。
椿油を塗り、ふぅと息を吐く。
サクラがブルブルッと身体を震わせ、水分を払う姿を見て小さく微笑み、手ぬぐいで軽く拭いてあげる。
羽織を纏い、サクラを腕の上へと促す。
『行きましょう。』
サ「ソウネ!!」
サクラが乗ったことを確認し、縁側へ向かう。
途中で台所を覗いてみたが、2人仲良く特に問題もなく料理していた。
縁側に座り、桜の木を眺めていつもの歌のメロディを歌う。
『lu〜〜♪la〜la〜〜♪〜』
自然と流れる涙を拭わず、静かに歌う。
杏(…っ、)
歌っていると、微かに頭に痛みが走る。
『lu〜〜♪la〜la〜〜♪』
痛む頭を押さえつつ歌い終わり、月に視線を移して息を吐く。
『今日は満月ね…。きれい…。』
祈「桜柱さま…??」
『…花柳さん??佐々木さんもいますね。
どうしました??』
祈里に背後から声をかけられ、2人分の気配があるのに気づいてサッと羽織の袖で涙を拭う。
祈「…夕餉ができましたので呼びに参りました。」