第3章 壊された幸せ
既に虫の息のもみじも杏の名を呼ぶ。
童「あれぇ、君たちまだ生きてたんだ。しぶといねぇ。特に小さい方の君…結構深く斬ったと思ったんだけどなぁ。」
驚いたような顔をした童磨が3人のもとにやってくる。
も「あ、んず…」
ゆ「うっ…、けほっ…」
胸のあたりをざっくりと斬られたもみじは即死しなかったのが奇跡だった。
残された力を振り絞ってもみじは必死に杏に手を伸ばす。
ゆりはもみじほど深い傷を与えられてはいないが、決して浅くはない傷を体中にくらっていて、出血多量で目が回っていた。
それでも、妹たちを守るため2人の前にでる。
も「あんず…。生き、なさい…がん、ばって…。」
杏の頬に手を触れ、ニコッと微笑むもみじ。
ゆ「…っ、そうね、私たちの分もあなたが強く、強く生きるのよ…。杏ちゃん、大好きよ、愛してる。」
ゆりも童磨の方を見ながらも力強く、優しく伝えてくる。
も「わた、しも…あんず、愛してるわ…。
ゆり、ねえさん…も、」
ゆ「もみじちゃん…。ごめんね、ありがとう…。」
ゆりの方からすすり泣く声が聞こえる。