第11章 護衛役
音「そのようなことをされることなど何もありません!!」
小さく首を横に振り、申し訳なさそうに口を開く。
『いいえ…。貴方たちが入隊した理由は知らないけれど、少なくとも柱の護衛や世話をするためではないでしょう??
そのお詫びといってはなんですが…護衛兼世話役としてこの屋敷にいる間、貴方たちに稽古をつけようと思うのですがよろしいですか??』
そして最後に弱々しく微笑みながら稽古についての提案をする。
その杏の提案を聞いて固まる祈里と音羽。
『花柳さん??佐々木さん??』
動かない2人を見て不安そうに顔を覗き込む。
祈「…よろしいのですか??」
『え、えぇ…。』
突然口を開いた祈里に驚きつつも、肯定の言葉を出す。
音「本当に…よろしいのですか??」
『勿論です。むしろこんなことしか思いつかなくて申し訳ないのですが…。』
音「“こんなこと”なんかじゃありません!!
すごく、すごく光栄です!!」
祈「えぇ、本当に…本当に嬉しいです。」
2人とも嬉しそうに顔を綻ばせる。
祈里ははじめから笑顔だったが、音羽はあまり笑顔を見せていなかったため少し驚く杏。