第11章 護衛役
日輪刀を置く刀掛けと羽織をかける衣桁に触れながら考える。
部屋を出て、肩にとまるサクラに話しかける。
『サクラ、門のところで護衛役の子たちを出迎えてあげて。私は少し奥へ行ってるわ。』
サ「ワカッタワ!!」
飛び立つサクラを横目に見ながら、屋敷の奥へと足をすすめる。
左手の自身の部屋に入り、ある棚の前に立つ。
刀鍛冶の里の絡繰師に作ってもらったからくり棚だ。
慣れた手つきで引き出しを動かしていく。
この棚のからくりは杏と作った絡繰師にしかわからない。
──カタン
この音が開いた合図だ。
真ん中の引き出しを引くと、お館様に預けているものとは別の遺書、そして小さな木箱が置いてある。
その木箱を手に取り、中から小さな鍵を取り出した。
その鍵を手に向かいの鍵のかかっている部屋へ向かう。
つけてある錠前の鍵穴に鍵を通す。
──ガチャ
スッ、と襖を引き中に入る。
部屋の中に広がるのはたくさんの色とりどりの着物や浴衣、帯、帯留め、お化粧道具、弦の切れた琵琶にお菓子を作るときのお道具。
さらに、
百合の花のモチーフがついている髪紐。
椿の花のモチーフの髪留め。
紅葉のモチーフの簪。