第11章 護衛役
サ「ソウダ。オ館様カラ言伝ガアルワヨ。」
『あら、もしかして早速任務かしら。』
サ「ソンナワケナイデショ!!」
『まぁ残念ね。』
ふふっと笑い、気を取り直して内容を尋ねる。
『それで内容は??』
サ「護衛役ノ人ヲ今日中ニモ花屋敷ヘ向カワセルソウヨ。」
『あら??今日屋敷に戻ることお館様にお伝えしたの??』
感じた疑問をサクラに尋ねる。
サ「ツイ先刻決マッタコトヲ伝エラレルワケナイデショ。」
『やっぱりお館様には敵わないわね。』
サ「ソウネ〜。」
呑気に話しながら歩く杏。
『さぁ、着いたわよ。』
閉ざされた門を押す。
門を開けた瞬間に見える花たちは二月前と変わらず、美しく咲き誇っていた。
杏(隠たちかしら…。
後でお礼を言わなくてはね。)
花たちを見ながら玄関へと向かう。
──ガラッ
『…ただいま。』
やはり返事はない。
杏(なんだか…すごく久しぶりね。
二月も寝てたせいかしら。)
そっ、と壁に触れる。
衣装部屋へ向かい、日輪刀と羽織を置く。
杏(護衛役として来てくれる子たち用に新しく準備しなくちゃね。)