第11章 護衛役
し「えぇ、大丈夫ですよ。」
しのぶの言葉に同調するように頷く杏。
ア「っ、わかりました。
どちらが追う側にしますか??」
『私が追います。
しのぶさん、よろしいですか??』
し「えぇ、勿論です。」
驚いた表情をみせつつも、小さく頭を振り合図を出すために腕を上げるアオイ。
カナヲは相変わらず杏としのぶをじっ、と見ている。
ア「それでは…はじめっ!!」
アオイが手を振り下ろした瞬間、動き出す2人。
先程の反射訓練と同じく、柱の中でもトップクラスの速さをもつしのぶを追う杏は苦しそうな表情を浮かべる。
杏(…やっぱり速い…それに身軽だわ。
でも、脚力なら私だって負けてない。
しのぶさんが空中に逃げたときがチャンス…。)
互いに一歩も引かず、決着がつかない鬼ごっこ。
──ダッ
し「っ!!」
しのぶに真っ直ぐ突っ込む杏。
杏がここまでまっすぐに突っ込んでくると思っていなかったのか、驚き目を見開くしのぶ。
しかし、すぐに真剣な表情に変わりふわっと宙に飛んで避ける。
杏(いまっ!!)
しのぶが飛んだことを確認した瞬間、グッ、と足に力を込める杏。