第11章 護衛役
杏(やっぱりしのぶさんの速さは柱の中でも随一…!!)
しのぶの速さに着いていくのがやっとの杏。
タラリと垂れる汗に顔をしかめる。
──カタン
し「っ、」
杏(っ、抜けるっ…!!)
しのぶの手が湯呑に当たり、僅かに出遅れたのを見逃さず、今までにないスピードで湯呑に手を伸ばす杏。
しかし、柱の中でも速さと突きの正確さはトップクラスのしのぶ。
『っ、』
し「…勝負あり、ですね??」
一気に集中して杏の湯呑を押さえ、杏が押さえるよりはやく湯呑を上げた。
ア「そこまでっ!!」
『…ありがとうございました。』
し「ありがとうございました。」
互いに礼をしてふぅ、と息を吐く。
『流石しのぶさんですね。まだまだしのぶさんに速さで勝てそうにないです。』
し「それが私の強みですからねぇ。
そう簡単には負けませんよ??」
悔しそうな表情をみせる杏にふふっ、と微笑むしのぶ。
し「さぁ、全身訓練にいきましょうか。」
『はい。』
スッ、と立ち上がり位置へと向かう杏としのぶ。
ア「休憩はもうよろしいのですか??」
アオイとカナヲも慌てて後を追ってくる。