第3章 壊された幸せ
童「さぁ、行こう。
君のお姉さんはもうすぐ死ぬからね。」
『え??』
ニコニコしながらそう告げる童磨の言葉に思わず目を見開く杏。
弾かれたようにつばきの隣にしゃがみこみ、必死につばきの名を呼ぶ。
『つばき姉さんっ!!しっかりして!!』
つ「あ、んず…。」
うまく呼吸ができず、言葉が出てこない。
『やだっ!!つばき姉さんっ!!』
必死に叫ぶ杏。
まだ9歳の杏にはなんの知識もなく、どうしたらいいかわからない。
──グイッ
童「さぁ、はやく行こう。
あの方がお待ちかねだ。」
まるで泣き叫ぶ杏が見えていないかのような童磨は杏の腕を引き、連れて行こうとする。
『やだっ!!離してよっ!!』
9歳の女の子が力で敵うはずもなく、ズルズルと引きずられていく。
童「ほらほら、はやく。」
楽しそうに杏を引きずる童磨。
『や、だぁっっっ!!』
杏が一際大きな声で叫んだ瞬間、
──グサッ
童「うわっ!!」
童磨の顔に包丁が刺さった。
童磨は杏を連れて行くのに夢中で避けられなかったようだ。
つ「っ、杏!!」