第3章 壊された幸せ
ゆりももみじも、今すぐ助けられたとしてもこれから生きるのは難しいほどの出血をしている。
自分も既に童磨の怒りをかっているため、恐らくここで殺されるだろうということまで理解できてしまっているつばき。
つ「おねがい、杏…。」
『……。』
そんなつばきを見て、コクンと頷き逃げようとする杏。
童「逃さないよ??“青い彼岸花の君”。」
──ふわっ
童磨が扇をふると、ひんやりとした空気が辺りに満ちる。
『さむっ…。』
つ「っ!?ゴホッゴホッ」
突然の寒さに思わず呟く杏の前でつばきが咳き込む。
『っ!?つばき姉さんっ!!』
苦しそうに呼吸し、その場に蹲るつばきに駆け寄る杏。
童「あぁ、“青い彼岸花の君”。あまりこの冷気を吸わないほうがいいよ。肺胞が壊死しちゃうからね。」
いつの間にか目の前に来ていた童磨がニコニコしながら杏に優しく話しかける。
『はいほうが…えし…??』
難しい言葉でまだ9歳の杏には理解ができない。
童「あぁ、君には少し難しかったかな??」
ふふふ、と杏に微笑み、杏の隣で苦しんでいるつばきを見下ろす。