第10章 番外編 猫
『よかった………。』
ホッと胸をなでおろす杏。
不「胡蝶に感謝だなァ。
まさかこんなに早く治るとはなァ。」
『はい!!そうですね…。
やっぱりあの新しい薬が効いたんでしょうか。』
苦かったですけど、と付け加え苦笑する杏。
不「そうだろうなァ。」
薬を飲んでいるときの杏を思い出したのか、クックッと笑う不死川。
『笑いすぎですよ??』
小さく頬を膨らませ、抗議の意を示す杏。
不「わりィわりィ。」
謝りながらなんとか笑いを収める不死川。
『まぁとりあえず、お世話になりました。』
不「大して世話してねぇよ。」
『いえ、猫耳と尻尾が生えた猫の言葉しか喋れないような面倒くさいやつを屋敷に泊めてくださっただけで十分ですよ。』
不死川の言葉に小さく頭を振り、微笑む杏。
そんな杏の言葉に不死川は記憶を遡る。
そこで杏が身じろぎ、なかなかに際どいところまで見えてしまったことを思い出した。
不「…いや、なんというか、こっちこそ悪かったなァ。」
ほんの少し頬を染め、バツが悪そうな不死川の様子に首を傾げる杏。
『なんで不死川さんが謝るんですか??』
不「いや、………やっぱ何でもねェ。」