第10章 番外編 猫
自分が頭を置いていた枕だと思っていた不死川の足に視線を向けながらおそるおそる尋ねる。
不「あァ。」
不死川がそう答えた途端、みるみるうちに真っ赤になっていく杏の顔。
『す、すみません…!!』
プシュー、と蒸気を出す。
杏(ずっと…!?私ずっと膝枕してもらってたの…!?ていうか寝落ちしたの!?
いくら猫になったからって寝落ちするなんて…。)
1人顔を手で覆い、羞恥に耐える。
──ポンッ
杏(…??)
ぎゅっと目を瞑っていた杏の頭に手を置く不死川。
そこから撫でるわけでもなくただ置いているだけの状態が続く。
動かない不死川の顔を覗き込む杏。
『不死川さん…??どうなさいました??』
杏が首を傾げながら尋ねると、不死川は表情を変えないまま杏の頭を後頭部の方までスッと撫でる。
何をしているのか分からずキョトンとする杏。
『あの…??』
不「なくなったなァ。猫耳と尻尾。」
『え??……あ、ホントだ!!
て、ことは私普通に話せてますか!?』
不死川の言葉にバッと後ろを見てゆらゆらと揺れる尻尾がないことを確かめる杏。
不「あァ。」