第10章 番外編 猫
し「猫たちを見てさらに合うように調合しておきました。」
『にゃんにゃにゃにゃんにゃあ。
(ありがとうございます。)』
お礼を言い、薬を受け取る。
し「それでは、失礼します。」
杏と不死川に微笑みかけ、その場から消えるように去っていった。
不「とりあえずそれ飲むかァ。」
『にゃん。(はい。)』
不死川が湯呑に準備してくれた薬をグッと飲み干す。
『にゃあ…。(苦い…。)』
あまりの苦さに垂れる猫耳と尻尾。
不「胡蝶の薬は確かに効くが、この苦さだけはなんとかならねぇのかなァ。」
うぅ…と項垂れる杏の隣で湯呑の臭いを嗅ぎ、眉間にしわを寄せる不死川。
不「とりあえず、薬も飲んだし日光浴でもするかァ。」
『にゃんにゃにゃあ…。
(他人事だと思って…。)』
呑気に欠伸をする不死川を見て不貞腐れる杏。
不「こっちこい。」
不貞腐れる杏を縁側へ呼ぶ。
ぽかぽかと温かい日の光を浴びて徐々に表情が緩んでいく杏。
そんな杏を見ていた不死川は足元にあるものを見つけた。
プチッと摘むと、ニヤッと笑う。
──フラッ
突然、杏の視界に入ってきたゆらゆらと動く物体。