第10章 番外編 猫
クスッと笑いながら不死川を見上げるしのぶ。
不「…なんのことだァ。」
し「あら、もちろん猫になった杏さんのことですよ。一晩大丈夫でした??」
不「…さぁなァ。」
完全に誂うモードに入っているしのぶに視線を向けずに適当に流す不死川。
し「まぁいいとしましょう。杏さんの様子を見る限り襲われてはいないようですしね〜。」
ふふっと口に手を軽くあてながら笑うしのぶ。
不「あァ!?っ、……。」
不死川は文句を言おうと口を開いたが、奥から足音が聞こえてきたため口を閉じる。
『にゃんにゃにゃにゃあ。
(お待たせしました。)』
走ってきた杏はいつもと同じ型の隊服に身を包んでいた。
し「さて、私はそろそろ失礼しますね。」
縁側から立ち上がるしのぶ。
『にゃんにゃにゃにゃあにゃん??
(もう行ってしまわれるんですか??)』
不「もう行くのかってよォ。」
杏が話した瞬間、不死川を見るしのぶ。
その視線を受け、すぐに通訳する不死川。
し「えぇ、猫たちもいますし。
良い息抜きになりました。
あぁ、そうでした。これ、新しい薬です。」
思いだしたように羽織の袂から薬を取り出す。