第10章 番外編 猫
顔を上げた杏の視界に映るニコニコと微笑むしのぶ。
『にっ…。(ひっ…。)』
杏は思わず小さく悲鳴を上げる。
し「ふふふふっ。」
微笑みながら自分を風呂に入れるしのぶはまるで悪魔に見えた。
『にゃあーーーーーーーーーー!!』
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『にゃぅ…。(うぅ…。)』
あっという間にしのぶにお風呂に入れられた杏は猫耳と尻尾をこれほどまでと言うほどに垂れさせていた。
し「隊服届くまでにもう少しかかるようですので、とりあえず不死川さんに浴衣借りてきましたよ。」
しのぶは本当に手際が良かった。
しのぶの手により、あっという間に浴衣を着せられ、髪の水分を手ぬぐいで丁寧に拭き取られる。
日光浴のために縁側に移動し、しのぶは鴉に持ってこさせた椿油を杏の長い髪に塗り込んでいく。
『に、にゃんにゃにゃにゃあ。
(あ、ありがとうございます。)』
杏としてはとてつもなく怖かったが、一応ちゃんとお礼は言う。
し「なかなか読み取るのは難しいですねぇ。」
しのぶはんー、と困り顔を浮かべる。
『にゃにゃにゃあ、にゃんにゃにゃんにゃにゃあ??(しのぶさん、猫苦手なんじゃないんですか??)』