第10章 番外編 猫
それなのにこんな反応をされてしまうと多少は苛立ってしまうものだ。
杏の隣に行き、壁にもたれかかる不死川。
不「おィ、昨日から何なんだァ。」
『……にゃ、にゃあにゃにゃ…。
(え、えーと…。)』
洗い物の手を止め、隣からくる不死川の視線から目を逸らす杏。
不「言ってみろォ。」
『…!!にゃにゃっ、にゃにゃんにゃにゃにゃあ…。(そのっ、着替えないですし…。)』
不「んなもん貸してやるよォ。あァ…そういや、今日か明日にも新しい隊服くるんだったなァ。届け先こっちにするよう連絡しとくかァ。」
不死川の尋問に何か思いついたように言ってみるも、真っ向から否定され、さらに追い詰められていく杏。
『にゃ!!にゃっにゃにゃあにゃ…!!
(え!!ちょっと待って…!!)』
慌てて止めようとするも、不死川から視線で合図された話を聞いていたであろう鴉が縁側から飛び立つ。
焦る頭で必死に次の言い訳を考える杏。
必死に頭を回転させすぎて周りが見えていなかった。
──トンッ
『にゃっ…!!(きゃっ…!!)』
ふと横から不死川に腕を引かれ体制を崩すとそのまま壁に押し付けられる。
所謂壁ドン状態。