第10章 番外編 猫
まだ覚醒していない頭でボーッと考える。
頭の上に手をやり猫耳があるか確認する。
杏(…まだある。)
手に触れたモフモフとした感触にはぁ、と溜息を漏らす。
昨日と同じように伸びをして起き上がり、借りた浴衣から隊服に着替えた。
杏(あれで動いたら色々と大変だしね。)
起きてみたら胸元や裾がはだけていて驚いたものだ。
黒の詰襟は羽織らず、スカートに白のブラウス、ベルトをつける。
杏(流石に櫛はないわよね…。そういえばお化粧道具もないわ。殿方の家に泊まったりだなんてなかったから昨日は忘れてたけど…どうしましょう。)
長い髪に触れながら、どうしようかと悩む。
いつもの髪型にしたらおろしている部分がボサボサなままなのでみっともないだろう。
杏(あるのは簪1つだけ…。
纏めてしまおうかしら。)
少し手間はかかるが、纏めてしまえば寝癖も気にならないだろうと手際よく長い髪を結い上げる。
編み込みなどを駆使したため、思っていたより綺麗に出来たと満足気に微笑む。
戸を開け、台所へ行き食材を確認する。
杏(思っていたよりあるわね。
なんでもできそう。)