第10章 番外編 猫
杏の返事を聞いた不死川は肩から手を離し、奥へ下がっていく。
すぐに1枚の浴衣を手に戻ってきた。
不「ほらよォ。」
『にゃにゃんにゃんにゃあ。
(ありがとうございます。)』
ポイッと放られた浴衣をキャッチしてお礼を言う。
不「客間は好きに使っていいぞォ。」
『にゃん。(はい。)』
不「じゃ、おやすみ。」
『にゃん、にゃにゃあにゃにゃん。
(はい、おやすみなさい。)』
ヒラヒラと手を振り、自室へ向かう不死川にペコッと頭を下げ杏も客間へ向かう。
借りた浴衣はやはり大きく、何度か裾を踏んで転んでしまいそうになった。
着ていた隊服を綺麗に畳み、枕元に置く。
そのまま敷かれていた布団に潜り込んだ。
杏(…ちゃんと、元に戻るわよね。)
猫耳と尻尾に触れ、小さく溜息をつく。
不死川の言っていたように色々あり疲れていたため、すぐに眠りについた。
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──ピチチチチチッ
鳥のなく声で目が覚める。
上半身だけ起こし、小さく欠伸を漏らす。
杏(ここは…不死川さんのお屋敷…。
あぁ、昨日からお世話になってるんだっけ。)