第10章 番外編 猫
『にゃ!?にゃにゃにゃあ!?
(え!?大丈夫ですか!?)』
あまりの顔の赤さに慌てる杏。
思わず背伸びをしてさらに近くで不死川の顔を覗き込む。
不「だ、大丈夫…だ…。だから離れ…うおっ!!」
ようやく動き出した不死川が顔が近すぎる杏を離そうとした瞬間、杏は不死川の浴衣の襟をグッと引いた。
バランスを崩し、前のめりになった不死川のおでこに自分のおでこを当てる杏。
不「_____っ!!」
不死川は目を見開き、目を瞑っている杏の顔を見つめる。
『にゃにゃんにゃにゃんにゃにゃにゃん。
(熱はないですね。)』
小さく呟きながら襟から手を離す杏。
『にゃ??にゃにゃにゃにゃんにゃにゃにゃん。
(あれ??でもまだ赤いですね。)』
んー??と首を傾げる杏の肩を押し、強引に距離をとる不死川。
『にゃにゃにゃあ??(不死川さん??)』
突然肩を押されおどろく杏。
杏の肩を押し、そのまま下を向いていた不死川はふーっ、と息を吐く。
不「大きいだろうがいいかァ。」
『にゃ、にゃん…。(あ、はい…。)』
顔を上げた不死川の顔はいつもと同じに戻っていて、でもなんとなくいつもとは違う雰囲気を纏っていて反射的に頷く杏。