第10章 番外編 猫
杏の服装を見ながら呟く不死川。
『…にゃにゃにゃん。(そうですね。)』
正直寝れないことはないが、流石に一晩これで寝れば隊服が皺になるし寝にくいだろう。
杏(選択肢としては、このまま寝るか不死川さんに何か借りるかよね…。どうしようかしら。)
うーん、と腕を組みながら悩む杏。
そして、よし、と決断を下すと顔をあげて不死川を見つめる。
不「どうしたァ??」
突然顔を上げた杏に驚く不死川。
杏はそんな不死川の袖をそっと掴む。
『…にゃにゃにゃあ、にゃにゃんにゃにゃんにゃんにゃあ??
(よければ、何か貸してくださいませんか??)』
不死川の袖を掴みながら上目遣いで頼む。
ちなみにこの方法は宇髄から仕込まれた技だ。
宇髄曰く、「不死川に何か頼むときはこうしろ!!派手にうまくいくぜ!!」だそうだ。
杏(反応がない…。駄目だったかしら。
宇髄さんに後で文句言わなきゃ…。)
あまりにも反応のない不死川に心の中で宇髄に文句を言う。
『にゃん…??(あの…??)』
とりあえず反応のない不死川の顔を覗き込む。
覗き込んでみた不死川の顔は今までに見たこともないほどに真っ赤になっていた。