第10章 番外編 猫
『んー。』
腕を体の前につき、んー、と伸びをする杏。
猫耳の動きも尻尾の動きもまるで猫そのものだ。
不「目は覚めたかァ??」
『にゃん…。(はい…。)』
目を擦りながら不死川を見る。
不「とりあえず飯食うぞォ。」
置いてある御膳に視線をやる不死川。
『…にゃにゃにゃにゃんにゃんにゃにゃあ??
(不死川さんが作ったんですか??)』
御膳の前にちょこんと座り、ご飯を覗き込む。
不「あァ。食えねぇとかいうなよォ。」
『…にゃん。(はい。)』
杏(雑炊だ…。美味しそう…。)
じっ、と雑炊を見つめる杏を見る不死川。
杏の尻尾はゆらゆらと揺れている。
不(よくわかんねぇけどおもしれねぇな…。)
ふっ、と笑いながら手を合わせる。
不「いただきます。」
『にゃにゃにゃにゃん。(いただきます。)』
不死川が手を合わせるのを見て同じように手を合わせる。
ふぅふぅと、息を吹きかけ冷ます。
──パクッ
『にゃにゃんにゃん…。(おいしい…。)』
頬を染め、パァァァッと顔が明るくなる。
不「食い終わったら湯浴みするかァ??」